便の色でわかる身体の調子
便の色は、身体の調子を表すバロメーターとなります。普段はあまり意識しないかもしれませんが、食べたり飲んだりしたもの、内服薬・バリウムなどによって、便の色は変化します。また、消化器からの出血、感染症、胆汁の少なさなどによって、普段と違う色の便が出ることもあります。
お手洗いに行った時には、ときどき、できれば毎日、便の状態をチェックする習慣を身につけることをおすすめします。色以外にも、形状や硬さ・においがいつもと違う、排便回数が多すぎる・少なすぎるといった便・排便に関するお悩みがございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
健康的な便の色
健康的な便は、黄土色~薄い茶色をしています。ただ、色さえ問題なければ健康的な便と言えるわけではありません。バナナ状または半練り状で、するりと出ることがポイントです。排便回数には個人差がありますが、通常は1日1~2回です。
なお、先述の通り便の色は飲食物・内服薬によっても変化します。緑黄色野菜をたくさん食べて緑色の便が出た、イカスミ料理を食べて・鉄材を飲んで黒い便が出た、バリウムを飲んで灰白色の便が出たといったような明らかな原因があるケースで、その原因を取り除けば速やかに元に戻るようでしたら、基本的に心配はいりません。
便の色からわかる病気
普段と違う便が出た時には、その便の色によって、可能性のある病気をある程度予測することが可能です。気になる時には、一度当院にご相談ください。
便の色 | 可能性のある病気・原因 |
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緑色 | 胆汁の排泄不良、消化管の運動機能の低下などが疑われます。ただ、緑黄色野菜などの飲食物由来のものがほとんどです。 |
黄色 | 脂肪吸収障害、胆道の異常などが疑われます。特に継続的に黄色い便が見られる場合には、注意が必要です。 |
灰白色 | 胆汁の排泄不良、肝臓・胆道・胆嚢・膵臓の病気などが疑われます。 |
黒色 | 食道・胃・十二指腸からの出血が疑われます。炎症や潰瘍・がんなどによる出血が、便に混じります。コールタールのようであることから、「タール便」とも呼ばれます。 |
白色 | 胆汁の排泄不良が疑われます。肝臓・胆道の病気、胆石症、胆嚢炎などの可能性を考えます。 |
便の色に影響を与える食品
食べ物や飲み物も、しばしば便の色に影響を与えます。思いあたる食品があり、その摂取を控えて短期間で色が元に戻るようであれば、それほど心配はいりません。
便の色 | 可能性のある食品 |
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緑色 | 緑黄色野菜、葉物野菜、野菜ジュースなどの摂取によって、便が緑色になることがあります。葉緑素、塩基性成分などの影響です。 |
赤色 | ニンジン、クランベリー、赤大根などに含まれる色素が、便を赤色にすることがあります。 |
オレンジ色 | ビタミン剤、カボチャやニンジンといったカロテノイドを多く含む食品は、便をオレンジ色にすることがあります。 |
黄色 | 油脂、脂肪をたくさん摂った時、ビタミン剤を飲んだ時など、便が黄色っぽくなることがあります。 |
白色 | 乳製品や脂肪を多量に摂った時、消化不良を起こし、白い便が出ることがあります。 |
黒色 | 食品ではありませんが、ビスマス錠、鉄剤によって便が黒くなることがあります。 |
灰白色 | 食品ではありませんが、バリウムの内服によって、便が灰白色になることがあります。 |
便の色や形状、排便の回数や
量でわかる身体の変化
便の色
健康な人の便は通常、黄土色~薄い茶色をしています。
これ以外の色の便が出る状態が続く場合には、何らかの病気、あるいは食生活の乱れなどを疑う必要があります。
排便回数
通常は1日1~2回ですが、2日1回でも健康に過ごしている方もいらっしゃいます。便が硬く排便が辛い、少量ずつしか出ないといった問題がなければ、それほど心配はいりません。
ただ、1日3回以上排便がある、3日に1回しか排便がないといった状態が続く場合には、念のため一度当院にご相談ください。
便の形状
直径3~4センチくらいの、バナナ状または半練り状の形が理想です。
形を成さない下痢がある場合はもちろんですが、ウサギのフンのようにコロコロしている、便が細い・途切れ途切れといった状態が続く場合は、ご相談ください。
便のにおい
誰の便であってもにおいはありますが、「普段と全然違ったにおいがする」「強烈な不快なにおいがする」といった状態が続く場合には、受診が必要です。
原因となる疾患には、大腸がん、過敏性腸症候群、肝臓疾患などがあります。
注意すべき便の色3色
特に注意すべき便の色3つをご紹介します。以下の便については、イカスミ料理を食べた等の明らかな原因がある場合を除き、一度でも確認したのであれば早期に受診し、検査を受けることをおすすめします。
便が黒い(タール便)
上部消化管(食道・胃・十二指腸)からの出血が疑われます。炎症や潰瘍、がんによるものです。原因疾患として、逆流性食道炎や食道がん、胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどが挙げられます。
便が赤い(鮮血便)
肛門から近い大腸からの出血が疑われます。炎症、潰瘍、がんなどによるものです。原因疾患としては、大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸憩室炎、虚血性腸炎などがあります。また肛門の病気として、切れ痔・いぼ痔が原因になることもあります。
便が白い(白色~レモン色の便)
肝臓や胆管の異常によって、胆汁の排泄が不十分になっていることが疑われます。肝炎や胆石症、胆のうがん、胆管がんなどの原因疾患が挙げられます。