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虚血性大腸炎

前兆なく突然発症する虚血性大腸炎とは

前兆なく突然発症する虚血性大腸炎とは大腸粘膜の血流が悪くなることで血流障害となり、虚血状態になった部分が炎症を起こした状態です。ご高齢の女性で便秘気味の方がかかりすいと言われていましたが、若い方にも比較的多くみられる(約3割が40歳未満)ことがわかっています。
典型的な経過として、便秘、下剤を使用後の下痢の後から、お腹の痛みが始まり、嘔吐、下痢、血が混ざった便が出ます。良性疾患ではありますが、急に症状が現れるのが特徴で、発症する方は多いです。粘膜障害は粘膜の深くまで及ぶケースもあり、深さにより「一過性型」「狭窄型」「壊死型」に分類されます。粘膜や粘膜下層に炎症が起きている一過性型は、安静に過ごしていれば症状が改善する見込みがあります。
虚血性大腸炎を発症する方の多くは一過性です。壊死型や狭窄型になると病状によっては、手術を要する場合があります。また、虚血性大腸炎は一度症状が改善しても、再発するケースも多いです。

ストレスも関係する?虚血性大腸炎の原因

虚血性大腸炎の原因で最も多いのは便秘で、特にかかりやすいのは高齢女性です。虚血性大腸炎は、大腸粘膜の血流が低下して虚血状態になってしまうと発症します。
便秘で強くいきむと腸管内圧が上昇し、大腸の血管が詰まってしまうことで虚血状態になります。便秘以外にも、高脂血症、糖尿病、高血圧による動脈硬化、不規則な生活習慣、ストレス、脱水症状、寒さなどが原因として挙げられます。脱水症状になると血液がドロドロになり、血管が詰まってしまうため発症しやすくなります。また、寒い冬に発症しやすいのは、血管がけいれんするためです。

虚血性大腸炎の症状

虚血性大腸炎の症状虚血性大腸炎の主な症状は、腹痛、下痢、血便の3つです。
腹痛はどんどん増していき、冷や汗が出る場合もあります。さらに、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。状態が悪化すると、大腸粘膜が剥がれ落ちてしまい、便に血が混ざった便や下痢、潜血便(目に見えない出血)といった症状が現れます。排便時、トイレが血で真っ赤になることもあるので、救急車を呼ぶ患者様も多くいます。
虚血性大腸炎のこういった症状は、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎、クローン病などの様々な大腸の病気で起こり得ます。病気によって治療の仕方や治療にかかる期間も違ってくるので、正しい診断を受けることが大切です。思い当たる症状があれば病院を受診して、適切な治療を受けましょう。

虚血性大腸炎の検査

血便や下痢、腹痛は、他の大腸疾患(薬剤性腸炎、感染性腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、大腸がん、大腸憩室炎)でも起こる症状です。
下記のような検査をして、正しい診断を受けることが大切です。

問診

問診問診では、既往歴や病状、症状がどんな時に現れるかなどを詳しくお聞きします。さらに、お腹の聴診や触診で腹部の状態をチェックします。

各種検査

各種検査腸管の形や、お腹に溜まったガス、便秘の状態を調べるため、レントゲン検査を行います。血液検査では、どのくらい炎症が進行しているのかが分かり、数値が良くなれば治療終了の判断もできます。腸の壁が厚くなっているか、炎症が腸の周りにも拡大しているかが分かるのが超音波検査です。大腸カメラ検査では、虚血性大腸炎の病変を見つけることができ、虚血性大腸炎と同じような症状の病気との見極めに役立ちます。
ただ、重い症状の場合(狭窄型など)、大腸カメラ検査が実施できない場合があるので、入院できる消化器に特化した病院をご紹介いたします。紹介された病院で、CT検査や注腸X線検査を受け、詳しい状態を調べることになります。

大腸カメラについて
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どのくらいで治る?虚血性大腸炎の治療方法

どのくらいで治る?虚血性大腸炎の治療方法ほとんどの虚血性大腸炎は一過性型のため、保存的治療(絶食、安静)で回復が見込めます。患者様の病状によって、通院しながら治療できます。入院が必要になるのは、ひどい潰瘍やびらんの状態が悪い場合です。
絶食しながら点滴で栄養を摂りつつ、経過を観察します。感染症などの恐れがあるときは抗生剤を使用し、改善してきていれば、柔らかい食事から食べ始めます。順調に回復すると、1~2週間ほどで改善するケースがほとんどです。
ただ、強い炎症で狭窄が起きたり、腸管組織の回復が見込めないほどの重症だったりする場合、外科的手術を行う可能性があります。これには、患者様の年齢や持病も関係しています。
虚血性大腸炎は、再発しやすい特徴を持っています。再発を防止するため、生活習慣の改善や便秘にならないことが大切です。

虚血性大腸炎に後遺症はある?

基本的に後遺症はありません。しかし、腸の血流が低下して強い炎症が生じた場合、狭窄が起きます。狭窄が起きたことで便が通りづらくなったり、腸に穴が開いたり、出血がひどくなったりした場合は手術を行う可能性があります。

虚血性大腸炎になったら食べるもの、食べてはいけないもの

虚血性大腸炎になったら食べるもの、食べてはいけないもの治療によって症状が良くなってきたら、水分を口から摂取します。お食事は柔らかめのものを少しずつ摂り、消化しやすい食材を食べましょう。繊維質の食材は回復が進んできてから食べることをお勧めします。病気を予防するため、水溶性食物繊維(お米、桃、りんご、バナナ、海藻類など)、牛、豚の赤身、ささみ、胸肉、白身魚などを多く摂取しましょう。控えていただきたいのは、加工肉、バラ、ロースなど脂質が多い食品です。患者様によって症状の具合が異なりますので、しっかり状態を見極めることが大切です。
当院は、患者様の病状に合わせて「食べた方がいいもの」、「食べていけないもの」をしっかり指導いたします。ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。