食欲がない、急に食べられなくなったのはストレス!?
「いつもの食事の時間になったのに食欲がない」という経験は、誰もが一度はしています。ほとんどの場合、その前の食事の量が多すぎたことを原因とします。風邪をひいた時、気分が落ち込んでいる時なども、あまり食欲が出ませんね。また、強いストレスを抱えている状態が続き、食欲不振になるというケースもあります。
一時的な食欲不振であり、その後食欲が戻れば、ほとんど心配はいりません。しかし食欲不振が2週間以上続く、吐き気・嘔吐・胃痛・体重減少など他の症状がある、食べても味がしないといった場合には、何らかの病気を疑う必要があります。
気になる症状がございましたら、お早めに当院にご相談ください。
このような状態が
続いていませんか?
以下のような症状が続いている場合には、お早めに当院にご相談ください。
- お腹は減っているはずなのに、食べたくない
- だんだんと食欲がなくなっており、体重が減り始めた
- 食べ始めてすぐ、お腹が一杯になったように感じてしまう
- 以前は1日3食だったのに、最近は1日2食、1日1食の日がある
- 食事を摂ることを忘れてしまうことがある
- 好物だったものを食べても、おいしいと感じない
- 食べ物、飲み物の味がしない
- 吐き気、嘔吐、胃痛など他の症状がある
食欲不振の原因
不規則な日常生活や食事の環境
不規則な生活・ストレス・睡眠不足は、自律神経のバランスを乱し、胃腸の機能を低下させます。
また、食事環境も食欲とおおいに関係があります。食事の時間がバラバラであったり、寝る直前に食事を摂ったり、間食をして次の食事を抜いてしまったりすると、本来空腹であるべきタイミングで食欲が出ないということが起こります。
お酒の飲み過ぎも、肝臓や膵臓への負担増、胃もたれや胸やけを招くため、食欲不振の原因となります。
根本的なことですが、食事の味や見た目、その場の雰囲気、食卓を囲む相手も大切です。美味しいものを、楽しくなる盛りつけで、きちんとテーブルについて、安心できる人と食べることで、食欲が刺激されます。
身体機能の低下
加齢または病気によって身体の機能が低下すると、食欲不振になることがあります。加齢に伴うものは致し方ない面もありますが、暴飲暴食の回避、ストレスの軽減に努めることなどで、食欲の維持を図りましょう。
病気を原因とする場合には、その病気の治療が優先されます。治療に際しては一時的な食事制限が生じることもありますので、医師の指示に従いながら、無理をせず、徐々に食べる量を増やしていきましょう。
その他、虫歯や歯周病による口腔機能の低下によって、食欲が出ない(または食べたいのに食べられない)こともあります。年齢を重ねてからも健康な歯を多く残せるよう、若いうちから予防に努めましょう。
身体の不調
胃もたれ、胸焼け、吐き気、倦怠感といった症状があれば、当然ながら食欲は減退します。また、心配事や不安、ストレスが食欲不振を招くこともよくあります。まずは胃腸・身体・心を休め、その不調を解消しましょう。
しっかり休んでも改善しない場合には、何らかの疾患が原因になっている可能性があります。早めに医療機関を受診してください。
過度なストレス
ストレスは、胃酸の過剰な分泌、胃腸の蠕動運動の低下などを招きます。血流が低下することから、胃の粘膜の修復機能の低下・粘膜を保護するための粘液の減少なども重なり、胃痛、胃もたれ、ゲップ・呑酸、吐き気、食欲不振など、さまざまな症状が引き起こされます。
薬の副作用
抗うつ薬、抗がん剤、モルヒネなどの麻薬、心不全や頻脈性不整脈に対して使用するジギタリス、鉄剤などは、副作用として食欲不振や吐き気が起こることがあります。
効能が得られ治療に役立っている場合にも、副作用が強く現れているのであれば、一度処方医に相談してみましょう。
病気による症状
食欲不振を呈する病気は少なくありません。急性胃炎、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、肝炎、肝臓がん、膵炎、炎症性腸疾患、甲状腺疾患、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、さまざまな病気の症状の1つとして、食欲不振が見られます。
食欲不振が2週間以上続く、体重が減ってきた、他にも複数の症状があるといった場合には、お早めに当院にご相談ください。
食欲不振を起こす病気
胃がん
ピロリ菌の長期感染、喫煙、塩分の摂り過ぎ、ストレスなどを原因として発症します。特にピロリ菌感染との深い関係が指摘されています。初期にはほとんど無症状ですが、進行すると胃痛、食欲不振、胃のムカムカ、吐き気などが現れます。
慢性胃炎(萎縮性胃炎)
主にピロリ菌感染を原因として、胃の広い範囲で慢性的な炎症が起こっている状態です。胃もたれ、胸焼け、食欲不振、膨満感、ゲップ、吐き気などの症状が見られます。放置していると、胃がんの原因となる萎縮性胃炎へと進行します
胃・十二指腸潰瘍
ピロリ菌感染や非ステロイド性抗炎症薬を原因として、胃や十二指腸の粘膜で潰瘍が生じる病気です。胃痛やムカムカ、胸焼け、ゲップ、吐き気、食欲不振といった症状が見られます。進行し潰瘍から出血すると、吐血や下血を引き起こします。
甲状腺機能低下症
甲状腺の機能が低下し、甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる病気です。これにより全身の新陳代謝が滞り、むくみ、寒気、体重増加、食欲不振、便秘、乾燥肌、脱毛、生理不順などの症状が引き起こされます。
食欲不振の検査
血液検査
炎症の有無・程度、感染の有無、貧血の有無などを調べます。
甲状腺機能低下症が疑われる場合には、甲状腺ホルモン・甲状腺刺激ホルモンの量も調べます。
超音波検査
肝臓や胆嚢、膵臓、脾臓の形態を調べ、病気・異常の有無を確認します。
甲状腺の状態を調べるのにも役立ちます。
胃内視鏡検査
食道・胃・十二指腸の粘膜を、カメラを介して直接的に観察する検査です。慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、食道がんなどの早期発見が可能です。また必要に応じて、ピロリ菌検査も実施します。
当院では、高性能・高精細の最新の内視鏡システム、嘔吐反射が起こりにくい経鼻内視鏡、痛み・不安を最小限に抑える鎮静剤を用いた胃カメラ検査を行っています。日本消化器内視鏡学会専門医である院長が担当いたしますので、安心してご相談ください。
X線検査
バリウムを飲み、食道・胃・十二指腸を観察します。炎症や潰瘍などの病変を発見することが可能です。
食欲不振の治療法
慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、甲状腺機能低下症などの病気が見つかった場合には、それぞれの病気に対する治療を行います。
また食生活・生活習慣・ストレスなどが原因と思われる場合には、現在の状況をお伺いした上で、お一人おひとりに合った食事・生活習慣指導、ストレスを溜めないためのアドバイスをさせていただきます。