TOPへ

急性腸炎

急性腸炎とは?原因について解説

食べ過ぎや飲みすぎ、ウイルスや細菌感染、アレルギーなどによって、腸の粘膜に炎症が起きている状態を指します。症状が出た原因から「感染性腸炎」と「非感染性腸炎」の2つのタイプに分けられます。
突然、下痢などお腹の具合が悪くなった場合は、当院まで速やかにご連絡ください。

非感染性腸炎

病気の原因となるウイルスや細菌への感染がない場合に起こる病気です。食物アレルギーや冷たいものの過剰摂取、食べ過ぎ・飲みすぎなどで腸炎を発症します。
また、腸粘膜の血行が低下すると、虚血性大腸炎を発症することがあります。

感染性腸炎

病原体(細菌、ウイルス、寄生虫)に感染することで発症します。
細菌は、カンピロバクター、コレラ菌、サルモネラ菌、赤痢菌、病原性大腸菌などです。ウイルスは、アデノウィルス、ノロウイルス、ロタウイルスなどがあります。これらの病原体が、動物や糞便、食べ物、水、人などから人体へ侵入すると感染が起こります。

急性腸炎の症状チェックリスト

急性腸炎の症状チェックリスト
  • 嘔吐
  • 下痢
  • お腹が痛い
  • 食欲がない
  • 血が混ざった便が出る
  • 発熱

 

下痢

急性腸炎以外でも下痢の症状は現れますが、急性腸炎になると下痢を起こす可能性が非常に高くなります。アレルギーや感染が原因の腸炎で、腸に炎症が生じると下痢になります。急性腸炎の下痢は、数日~数週間以内で良くなることがほとんどです。そのため、1ヶ月以上下痢が継続しているなら、急性腸炎ではない病気の可能性があります。

嘔吐

アレルギー性腸炎や感染性腸炎にかかると、嘔吐する可能性が高くなります。大腸だけでなく、上部小腸や胃・十二指腸などに炎症が生じたことが原因となり嘔吐します。大腸の血流が低下する虚血性大腸炎でも吐き気や嘔吐を認めることがあります。
ご高齢の方や子供の嘔吐は気を付けなければいけません。ひどく嘔吐してしまうと、食事や水分も摂れなくなり、脱水症状が起こることがあります。

食欲不振

急性腸炎になると食事を摂ってないにも関わらず、食欲がわきにくい状態になります。体が健康だと、体内に食べ物が入って時間が経つと血糖値が低下し、空腹を感じさせる摂食中枢の働きにより、お腹が空きます。
食欲不振は急性腸炎にかかるとよく現れる症状です。発症してから数日経過すると食欲もほとんど戻るので、あまり心配する必要はありません。

腹痛

急性腸炎でお腹が痛くなるのは、腸などに生じた炎症が神経を刺激するからです。腸の動きに連動して痛みが現れ、強くなったり弱くなったりします。お腹が痛いと腸炎だと勘違いする場合もありますが、嘔吐や下痢を伴っているなら急性腸炎かもしれません。症状は腹痛だけか、腹痛以外にもあるのかを見極め、適切な対応を受けることが大切です。

発熱

急性腸炎の病原体を退治するため、発熱が起きているとされています。体内にウイルスや細菌などが侵入すると、体に備わっている免疫機能が異物を攻撃するため熱が出ます。アレルギーが原因の腸炎では、発熱はほぼ起こりません。1日で熱が下がることもありますが、約1週間熱が継続するケースもあります。熱が出ている原因によって、期間は異なります。

血便

真っ赤な血が混ざる血便とタールのような黒色のタール便の2種類に大別されます。肛門周囲から出血している可能性がある真っ赤な血便は、急性腸炎で多い症状です。
タール便の原因は、胃や食道などから出血が起き、その血液が酸化したため、黒色の便になるのです。出血がひどくなると、命に関わる状況になるかもしれないので、便の異常に気付いたら早期に当院にご連絡ください。

ストレスが急性腸炎と似た症状を招く?

過敏性腸症候群

ストレスなどの影響でお腹の不調が起き、下痢や便秘といった便通異常が継続して起こる病気です。なぜ発症するのか明確な理由は分かっていないため、予防が困難なのが現状です。ただ、感染性腸炎が治癒した後、過敏性腸症候群を発症しやすい傾向があります。
主な症状は、下痢と便秘を何度も繰り返したり、継続した下痢に悩まされたり、患者様によって症状は異なります。さらに、不安などでストレスを感じると突然お腹の調子が悪くなり、下痢になってしまう方もいて、仕事や生活にも影響を及ぼすこともあります。
病気の発症に気付いていない人も多いと言われており、国内のおよそ10%の方が発症していると考えられています。

過敏性腸症候群について
くわしくはこちら

機能性ディスペプシア

精神的なストレス(緊張、不安)がかかったときにお腹に不調をきたす疾患です。過敏性腸症候群もストレスが原因となる可能性があるため、機能性ディスペプシアと関連があると言えます。食欲不振や腹痛などの症状が現れることもあります。この他、精神的なストレスが原因となり、めまい、頭痛、肩こりなどを感じる場合があります。

機能性ディスペプシアについて
くわしくはこちら

急性腸炎の検査と診断

急性腸炎の検査と診断症状などをお伺いし、便培養検査、血液検査、大腸カメラ検査などで詳しく検査してから診断します。感染性腸炎が疑わしい方は、大腸カメラ検査で腸内を調べます。当院は大腸カメラ検査の際は鎮静剤を使用するため、患者様のご負担の軽減が可能です。当院の院長は、消化器や内視鏡の専門的な知識を豊富に持っているので、不安なことはお気軽にご相談ください。

大腸カメラについて
詳しくはこちら

どれぐらいで治る?急性腸炎の治療について

急性腸炎はきちんと治療を行えば1~3日程度で症状が改善します。
ただし、下痢や嘔吐、発熱などの症状が起きている場合は、脱水症状にも注意しましょう。

薬物療法

薬物療法細菌感染の感染性腸炎には抗菌薬を服用していただき、腹痛や発熱には解熱剤を処方いたします。
ウイルス感染の感染性腸炎に効果を発揮するお薬は一部を除きありません。

食事管理

腸に炎症が起きている際の食事は、十分注意する必要があります。
よく噛みながら食べる、辛すぎるものやスパイスが多いものは摂りすぎない、消化しやすい食品を食べるなどが、自分でできることとして挙げられます。また、一回の食事の量は適量を心掛け、温かいものを食べましょう。お勧めは柔らかく煮たうどんです。

水分補給

水分補給水分をこまめに摂取することは、急性腸炎を発症した時にとても大切です。お勧めは、電解質と糖分の量が丁度良く配合されている経口補水液ですが、スポーツドリンクで水分を摂取しても問題ありません。口から水分を摂れない方は、点滴を行います。

入院が必要な場合

症状次第で入院して点滴しますが、ごく稀なケースです。点滴するのは、水分摂取が難しくて脱水症の危険がある場合です。急性腸炎自体を治療する目的で点滴を行うわけではありません。腸炎にかかった時は経口摂取が望ましいとされています。ただ、嘔吐と下痢を繰り返すようであれば、脱水症状になる可能性があるので点滴が必要です。